私はカメラを持っていろいろな土地へ旅行している。記念撮影用だと思っていたカメラが、いつしか変わった作品を生み出す機械へとなっていった。
何度か訪れたことのあるホテルから、額に汗して山をぐんぐん登っていくと、パノラマの大海原が目前に広がっていた。
美しい景色は時を失わせ、心を洗う。
そこは熱海の有名なホテルで、リピーターも多くいる。部屋からは海が見渡せ、夕食も海を見ながらコース料理をいただける。
それだけで十分満足していたし、旅行とはそういうものだと思っていた。
少しオシャレして、与えられた景色を楽しむ。いい思い出ができる。
カメラにはまってからは、人と違う写真を撮りたいと思い、遠巻きに名所を観察するようになった。
探究心が強いのか、体力があまっているのか、「山を登ろう」という旅行者と共にふうふう言いながら歩いて見た景色は、また絶景だった。
日本は狭い。名所は数あれど、その見かた次第でおもしろい変化を遂げる。